『ザ・ブライド!』感想と考察

『セクレタリー』での主演や『ダーク・ナイト』『ホワイトハウス・ダウン』などの助演でも印象的な俳優マギー・ギレンホールの監督・脚本作。主演は『ハムネット』でオスカー主演女優賞受賞、『もう終わりにしよう。』『MEN 同じ顔の男たち』のジェシー・バックリー。

映画はいきなりメアリー・シェリーの独白から始まって、心をつかまれる。メアリー・シェリーの声が主人公アイーダの中によみがえり、アイーダを突き動かしていく。

アイーダの中によみがえるのはメアリーの声だけではない。メアリーは、男たちに抑圧され加害されて死んでいったのであろう女性たちの名前を唱え、彼女たちも「いまここにいる」と繰り返す。アイーダ/ペニー/花嫁はそんな女性たちの怒りを体現する”怪物”、怨霊のような存在としてこの世によみがえる。その怒りと自由奔放さが周囲の女性たちに革命をもたらすことになる。

孤独な”怪物”同士として、フランケンシュタインの”怪物”と”花嫁”は惹かれあっていくが、アイーダ/ペニー/花嫁はメルヴィルの「バートルビー」の”そうしない方が好ましい”というセリフを繰り返し引用しながら、怪物の花嫁という役割も、彼女に押し付けられようとするものすべて拒否していく。

二人はボニーとクライドの運命をなぞるように逃避行を続け、同じような結末を迎えるが、監督はこの二人の物語を『俺たちに明日はない』や『ロミオとジュリエット』、オペラ『アイーダ』のような、愛しあう二人が死を迎えて終わるという悲劇にはしない。

男とその男のために造られた花嫁という二人の関係はリセットされ、そこからまた新しい物語が生まれるのだろう。

1935年の『フランケンシュタインの花嫁』でエルザ・ランチェスターが花嫁とメアリー・シェリーの一人二役だったように、ジェシー・バックリーが花嫁とメアリーの一人二役を演じている。監督の弟であるジェイク・ギレンホール、夫のピーター・サースガードも出演。

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