佐原徹哉『極右インターナショナリズムの時代: 世界右傾化の正体』

黒人差別があったから奴隷制が始まったのではなく、奴隷制を正当化するために人種理論と差別が始まったというのは衝撃だった。国際的なジハード主義者のネットワークやいまだに残るボスニア内戦の余波が極右思想に与えた影響、経済政策によって社会が破壊されたブルガリア、2015年の難民効きなどなどいろいろ解像度があがった。(ネオ)リベラリズム、資本主義、グローバル企業の超富裕層などにとっては、左派よりも右翼や極右と親和性がある(大衆も左翼よりしばきあげの自己責任論が好きみたいだし)。それが世界中で極右が国政で勢力を伸ばしている理由というシンプルな結論だった。欧米や日本の反イスラムな極右思想は、権威主義的で反リベラルで排外主義的である過激なジハード主義と鏡像関係にある。極右には反グローバルな要素もあるけど、それだけなら過激なイスラム主義だって反グローバルなわけで、極右が政権をとっても弱者なんて救済せず新たな貴族階級を作るだけだろう。バズった動画をパクるみたいに輸入した反イスラム言説を、インプレッションを稼ぐためにインフルエンサーが広め、ソーシャルメディアもそれを助長する。それに影響されたものが無差別銃乱射事件を起こす。反ユダヤでありながらイスラエルを支持するやつらとか、頭が痛くなるしひたすら暗澹とした気分にさせられる。人種理論と優生学がホロコーストにつながりイスラエルが生まれガザで虐殺を行う。植民地主義で搾取された国やソ連とアメリカの冷戦の影響でジハード主義がはびこる。ジハード主義者の無差別テロで反イスラム感情が高まり、引き起こされた内戦で大量発生した難民がヨーロッパに殺到しまた排外主義を高め、過激思想とは関係のないモスクが襲撃される。

「右も左もダメ」だからファシズムが支持される。難民の支援、難民を生む構造、社会構造、格差への対応 経済政策、気候変動、きれいごとを実行できる左派政党が大衆の信頼を取り戻し、力を持たなければ世界は闇に包まれる。

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