『ウィキッド 永遠の約束』感想

前作『ウィキッド ふたりの魔女』に続く完結編。

前作はエルファバとグリンダの学生時代、”西の悪い魔女”と”善き魔女”の誕生を描いていたが、今作は国家的な悪との戦いが描かれる。

前作はマイノリティ側(エルファバ)からの物語、今作はマジョリティ側(グリンダ)からの物語といえるかもしれない。

権力を維持するために動物たちを迫害するオズの魔法使いと魔法学部長マダム・モリブル。この2人をエルファバが魔法の力でやっつけてしまえば痛快なのだが、それではあまりにも絵空事すぎる。マジョリティ側で、体制側にいるグリンダを変えること、彼女が変わることでしか国や社会は変わらない、あえてそのようなストーリーにしていることはわかるのだが、カタルシスはないし、現実世界のことを考えると、マジョリティ側が変わることなんてあるのかと、どうしても楽観的になれない。

ストーリーテリングについていうと、エルファバとオズの魔法使いとの対決からフィエロとの逃亡、ネッサが”東の悪い魔女”と呼ばれるようになる理由と家の下敷きになってしまうことなど、『オズの魔法使い』のストーリーを知っているからか、すべてが段取りのように思えてしまった。前後編合わせて約300分あるので、詰め込みすぎて駆け足になるということはないはずなのだが。

権力の中にとりこまれたグリンダは欲しいものすべてが手に入る立場ではあるけど、お飾りのような存在でしかないことに気づき体制を裏切る。もちろん、エルファバとの友情は変わらずにあったということなんだけど、グリンダのことをそこまで信用できるとエルファバが確信できるのか、最後の2人の歌だけでは説得力が足りないと感じてしまった。。

グリンダが本当の”善”に目覚め、動物たちの権利も回復されるけど、エルファバはオズの国を去らざるをえなくなる。完全な絶望ではないけど、現実の厳しさが反映された、苦さを含む結末ではある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました