『ホワイト・ノイズ』(netflix)観た。死の恐怖という人生の危機、夫婦の危機をくぐりぬけるドタバタコメディ。

『フランシス・ハ』や『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバック監督。グレタ・ガーウィグとアダム・ドライバーが夫婦役で主演。

アダム・ドライバー演じる夫は”ヒトラー学”を大学で教えていて、化学物質による空気汚染事故がきっかけで死の恐怖にとり憑かれる。事故が起こった当初は大したことないという反応だったのが、デマのようなものが飛び交いながら時間が経つにつれて危機感が高まっていき、最後はパニックになるかんじ、原作は1985年出版なのでスリーマイル事故(79年)がもとになってるのかもしれないけど(チェルノブイリ原発事故は翌86年)、現在の日本で観ると東日本大震災の原発事故や新型コロナ禍の人々の反応を連想させて予言的……というか普遍性があるということなんだろうな。

以下、映画の内容に触れてます

ヒトラー、銃がドイツ製、最後の病院の尼僧がドイツ人、ミスター・グレイも外国人(ドイツ人?)など、ドイツが死に結びついてることとか、ミスター・グレイの右手の傷の意味とか、すべての要素が理解できるわけではないし、妻が実は夫以外の男とセックスしていて夫婦の危機が訪れるというのはいかにもアメリカ文学だなというかんじがするんだけど、モーテルでの銃撃で、夫と妻が同じ銃弾に貫かれて病院で一緒に治療を受けることで関係が修復される、という展開はなんとなく納得させられてしまった。

夫の同僚教授(ドン・チードル)が語るアメリカ映画論とか、スーパーマーケットが生と死のあいだの場所になぞらえられてたりとか、避難先で「なんでマスコミはもっと取材に来ないんだ、おれたちにはそういう取材を拒否する権利があるはずだ」という主張が興味深かったり、娘や息子たちがみんな頭良くて幸せな家族の描き方とか、何度も観返して味わいたくなる魅力のある映画だった。

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