『杉浦茂マンガ館 第1巻 知られざる傑作集』『第2巻 懐かしの名作集』を読んだ。

読書

シュールすぎるギャグ漫画で有名な杉浦茂の初期作品集。時系列順に読むことで発見や驚きがいっぱいあった。

「コドモ南海記」は戦中に描かれた教育漫画だけどちゃんとギャグも入ってる。当時の南方幻想と日本統治のリアルが垣間見えて興味深い。

このギャグは何度も出てくる。

最初は現実的な町内で始まって、空を飛んだりしてアフリカやアメリカにいくと、なぜか西部劇の世界でカウボーイになるというのがよくあるパターン。侍になったりカウボーイになったり、こどものごっこ遊びをそのまま漫画にしたような。西部劇の場面では西部劇映画を模写したような、ちょっとリアルな筆致になっていて、たぶん作者が好きだったんだろうなというのが伝わってくる。おいしい食べ物とかもそうだけど、作者が好きなものがとにかくそのまま出てくる感じ。

当時のアメコミのオマージュ?

子象のマメゾウがかわいい。

アップルジャム君はなんでもできるスーパー少年なんだけど、ここらへんの回では貧乏暮らしをしてて内容も現実的なご町内を舞台にしたギャグで、もしかしたらこれが初期のかたちなのかな?

「少年児雷也」は昭和31年の出版(連載はもう少し前?)なんだけど、あきらかに主人公がかわいくなってる。絵も丁寧になってるのかな。それ以前は下書きなしで描いてるのかなという感じ。出版や漫画制作環境の変化、同時代の作品の影響とか(手塚治虫『新宝島』が昭和22年)、比較して論じられたらすごく興味深いと思うんだけど、その知識がない。

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