映画 有害な権力者である天才についてのファンタジー/『TAR/ター』感想 冒頭の公開インタビューのシーンやジュリアード音楽院での授業のシーンを通して、ケイト・ブランシェット演じるリディア・ターの音楽的才能、頭の回転の速さ、カリスマ性が説得力をもって描かれる。そのおかげで、2時間30分、ターの全身から放射されるカリ... 2023.05.25 映画
映画 苦みを抱えながらも生きていく、すべての生きとし生けるものへの生命讃歌/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』感想 最近観た映画でいちばん泣いたし、泣いたのと同じくらい笑った。これは『ガーディアンズ』シリーズの『ノー・ウェイ・ホーム』。欠けたもの、悲しみ、痛みを抱えながらそれでも生きていくのだという生命賛歌。 ストーリーはシンプルで、アダム・ウォーロック... 2023.05.11 映画
読書 自由論とやっぱり『TENET』/高崎将平『そうしないことはありえたか?: 自由論入門』感想 決定論と自由は両立するか、両立論と非両立論とそれぞれに対する反論を網羅的に紹介、検討していく。日本では単著が翻訳されていないような哲学者の考え方も詳しく紹介されていてよかった。 自由の必要条件としての他行為可能性モデル(他の選択肢もとりうる... 2023.05.11 読書
読書 自由意志の「自由」とはどのようなものでなくてはならないか/トーマス・ピンク『哲学がわかる 自由意志 (A VERY SHORT INTRODUCTION)』感想 著者は自由意志説者として「自由」の存在を擁護する。決定論と自由意志は両立しない、という非両立論の立場だ。 決定論と自由意志は両立するという両立論の立場も存在する。この本ではホッブズが代表として挙げられている。ホッブズによれば、あらゆる出来事... 2023.05.11 読書
読書 アングラ劇風まんが道と無差別銃殺犯/丸尾末広『アン・グラ』感想 wikipedia情報だけど、16歳の時に上京して職を転々としたりという自伝的な内容と虚構を混ぜて描いた漫画。著者の分身が鬼太郎そっくりだったり、水木しげるやつげ義春のパロディをしながら著者自身が漫画家になるまでを描くというような、最初は軽... 2023.05.11 読書
ゲーム 純度100%のニンテンドー映画/『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』【ネタバレあり】 任天堂のゲーム「マリオ」シリーズをアニメ映画化。5月1日現在、全世界で興行収入10億ドル以上を叩き出しており、マリオというキャラクターのIPとしての強力さを証明している。 アクションシーンはすべてマリオシリーズやマリオカートへのオマージュに... 2023.05.01 ゲーム映画
映画 汝の隣人を愛することが全人類を救うことになる/『ノック 終末の訪問者』感想【ネタバレあり】 M・ナイト・シャマラン監督の最新作。嫌いな作家ではないのでいちおう新作はチェックしとかないと。原作はポール・G・トレンブレイの小説『終末の訪問者』。 ストーリーは、2人の父親と娘が山小屋で休暇を過ごしているところに4人の見知らぬ男女がやって... 2023.04.18 映画
未分類 他者を救うことは可能か? 救いをめぐる四角関係/『ザ・ホエール』感想【ネタばれあり】 「神巨(おほい)なる魚(うを)を創造(つく)り給(たま)へり」 ――創世記 メルヴィル『白鯨(上)』八木敏雄訳(岩波文庫)p.24 「海の鯨も神の声に従う」 ――『ニュー・イング... 2023.04.15 未分類
映画 『自由意志の向こう側』を読んで考えたこと、あるいは『TENET テネット』論 木島泰三『自由意志の向こう側』の感想をtwitterで共有したら著者ご本人からリプライをいただいた。光栄かつ恐縮なことだったけど、自分が考えてることをぶつけるのは畏れ多すぎるので、ここに書いておく。 ニール:世界を救ったんだ。偶然に起こった... 2023.04.10 映画読書
映画 ちょっと変わってるけど喪失感と哀愁に満ちたハードボイルド/『PIG/ピッグ』感想 ニコラス・ケイジ主演で、大事にしていた豚を奪われた主人公がその豚を取り戻しに行く話と聞いて、ニコラス・ケイジがそこらへんにいる人を手当たり次第にぶちのめす映画かと思って観てみたら、なんと静謐なハードボイルドだった。 ニコラス・ケイジ演じるロ... 2023.03.29 映画