デイミアン・チャゼル監督の最新作『バビロン』は『雨に唄えば』を下敷きにしてると聞いて、予習しとこうと『雨に唄えば』観た。映画史に残る超有名作だからもちろんタイトルは知ってたし、雨の中をジーン・ケリーが歌い踊るシーンも観たことあったんだけど本編は観たことがなくて、無声映画がトーキーに変わるタイミングの映画界を描いているというのも知らなかった。
ジーン・ケリーとドナルド・オコナーのコンビのタップダンスやアクロバットの目を瞠る身体性、ボードビルでのアクロバティックな演奏や踊り、「奴らを笑わせろ」のスラップスティックなギャグ、古典的だけど楽しいし思わず吹き出してしまうところが何か所もある。
映画の冒頭、インタビューに答えるかたちでドンとコズモの幼馴染同士がどうやって映画界に潜りこんだかやドンの人気だけが目当ての女優リーナとの関係が、歌とダンスで簡潔かつ楽しく物語られていく。
ドンとキャシーが初めて出会い、お互い第一印象が悪いまま別れ、パーティで再会したら片方は招待客、片方はダンスの出し物をする役になってて……という展開は『ラ・ラ・ランド』で男女逆転して引用されてたんだな。
キャシーのキャリアを潰そうとしたり映画会社を乗っ取ろうとしたりするリーナだけがこの映画の唯一の悪役で、ドンとキャシーは結ばれて二人とも映画スターになり、コズモはトーキー時代の音楽監督として出世し、映画会社の経営は安泰でハッピーエンド……なんだけど、ハリウッドや映画業界の暗い部分をリーナだけに一身に背負わせてるようで、物語にはあまり入りこめなかった。
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