映画

スポンサーリンク
映画

怪物を生みだすものは何か/『怪物』感想

映画は夜景から始まる。家々やビルの明かりが湖を囲むように輝いている。真ん中にある湖は真っ黒で、町の中心に空いた巨大な穴のように見える。 ガールズバーへの放火事件や学校での体罰問題などいくつかの事件がシングルマザーである早織、息子の湊、湊の担...
映画

有害な権力者である天才についてのファンタジー/『TAR/ター』感想

冒頭の公開インタビューのシーンやジュリアード音楽院での授業のシーンを通して、ケイト・ブランシェット演じるリディア・ターの音楽的才能、頭の回転の速さ、カリスマ性が説得力をもって描かれる。そのおかげで、2時間30分、ターの全身から放射されるカリ...
映画

苦みを抱えながらも生きていく、すべての生きとし生けるものへの生命讃歌/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』感想

最近観た映画でいちばん泣いたし、泣いたのと同じくらい笑った。これは『ガーディアンズ』シリーズの『ノー・ウェイ・ホーム』。欠けたもの、悲しみ、痛みを抱えながらそれでも生きていくのだという生命賛歌。 ストーリーはシンプルで、アダム・ウォーロック...
ゲーム

純度100%のニンテンドー映画/『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』【ネタバレあり】

任天堂のゲーム「マリオ」シリーズをアニメ映画化。5月1日現在、全世界で興行収入10億ドル以上を叩き出しており、マリオというキャラクターのIPとしての強力さを証明している。 アクションシーンはすべてマリオシリーズやマリオカートへのオマージュに...
映画

汝の隣人を愛することが全人類を救うことになる/『ノック 終末の訪問者』感想【ネタバレあり】

M・ナイト・シャマラン監督の最新作。嫌いな作家ではないのでいちおう新作はチェックしとかないと。原作はポール・G・トレンブレイの小説『終末の訪問者』。 ストーリーは、2人の父親と娘が山小屋で休暇を過ごしているところに4人の見知らぬ男女がやって...
映画

『自由意志の向こう側』を読んで考えたこと、あるいは『TENET テネット』論

木島泰三『自由意志の向こう側』の感想をtwitterで共有したら著者ご本人からリプライをいただいた。光栄かつ恐縮なことだったけど、自分が考えてることをぶつけるのは畏れ多すぎるので、ここに書いておく。 ニール:世界を救ったんだ。偶然に起こった...
映画

ちょっと変わってるけど喪失感と哀愁に満ちたハードボイルド/『PIG/ピッグ』感想

ニコラス・ケイジ主演で、大事にしていた豚を奪われた主人公がその豚を取り戻しに行く話と聞いて、ニコラス・ケイジがそこらへんにいる人を手当たり次第にぶちのめす映画かと思って観てみたら、なんと静謐なハードボイルドだった。 ニコラス・ケイジ演じるロ...
映画

奇妙で愛らしいメタ映画/『マッシブ・タレント』感想

この映画はニコラス・ケイジがニコラス・ケイジ本人を演じるコメディ映画だ。といっても、演じられるのは現実のニコラス・ケイジではない。われわれが映画やプライベートからイメージする「ニコラス・ケイジ」……オーバーアクティング気味のハイテンションな...
映画

闇の中の光、母、父、映画の光と闇/『フェイブルマンズ』感想

「アクターズ・スタジオ・インタビュー」にスピルバーグが出演したした回で、「あなたの父はコンピュータサイエンティスト、母は音楽家、もし彼らが宇宙人に遭遇したらどうやって意思疎通を図ろうとするでしょうか? コンピュータで音楽を作って話せるように...
映画

笑いの力でブラックホールから脱出せよ/『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』感想

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』みたいな、家族と人生についてシリアスに語るSFにすることもできたはずなのに、常にばかばかしい笑いを忘れず、涙と笑いが50/50……いや60/40になっているのがこの映画を特別なものにしている。 アメリ...
スポンサーリンク