『イモータリティ』Netflix入ってたら無料でプレイ可能な、実写映像のみの『街』とか『428』みたいなアドベンチャーゲーム

イモータリティ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.netflix.NGP.Immortality

お蔵入りになった3本の映画のフッテージ、短いフィルムの断片を観ながら、映っている物をピンチアウトすると別の映像にリンクしていって、どんどん映像を見つけていって謎を解くというアドベンチャーゲーム。ゲーム性としては『弟切草』や『街』『428』に近くて、これらのテキストアドベンチャーはテキストがメインであるというのが画期的だったわけだけど、このゲームはテキストの代わりに映像のみであることが画期的。

イモータリティ=不死とは何を指すのか、フィルムにとらえられた俳優たちか、それともフィルム=映画そのものか。フィルムを巻き戻したり拡大したりタブレットの画面をこすったりつまんだりしていると、不気味な生き物の内臓をぐにぐにと触っているような生々しい感覚があって、そうしているうちにデヴィッド・リンチ的なキモこわい現象が起こってぎょっとさせられる。

デヴィッド・リンチといえば、ゲーム内の映画、2人の女性が入れ替わる『Two Of Everything』は『マルホランド・ドライブ』を連想させるし、撮影にはリンチ作品に参加したスタッフもいるらしい。同じく作中の映画『アンブロシオ』の監督は女優への性的加害を指摘されるヒッチコックを思わせる。ハードなセックスシーンを「体当たりの演技」と評価される新人女優。JFKとマリリン・モンローなどなどハリウッドの闇の部分を常に想起させられる。

ほとんどの映像は撮影された映画の断片で、殺人事件の話をしてると思ったらカットがかかって映画内の演技だったとわかる、というように、同じ人間がフィクションのキャラクターから生身の人間になったり、その逆だったり、虚構と現実がぐるんぐるんと入れ替わるのを観ているとめまいがしてくる。死んでいる女性が「カット」の声とともに生き返る。演技プランを話し合っている人が次の瞬間には虚構の人物に変身する。このゲームをプレイすると、もうそれ以前のようには映画を観れなくなる。すべてのカットの前には「よーいスタート」終わりには「カット」の声がかかっていて、俳優やスタッフたちの準備があることが否応なく見えるようになってしまう。

お蔵入りになった3本の映画ともマリッサ・マーセルという女優が主演で、映画がお蔵入りになった理由、マリッサがどうなったのかという謎を追っていくことになるんだけど、映画をテーマにしたノワールなのかと思っていると、映画や芸術作品の中で永遠に生き続ける不死者をプレイヤーは具体的に目にすることになる。

映画についての映画を題材にした、いろんな意味でメタフィクションなゲームで、たぶん唯一無二のゲームであり、唯一無二のゲーム体験ができる。Netflixに入っているならぜひプレイしてほしいゲームだ(インストール時に動画をダウンロードするために空き容量が10ギガ以上必要になるというハードルはあるけど……)。

一応自力でエンディングらしきところまではたどりついたんだけど、どうしても進めない箇所があったので、下記のリンクを参考にして(もちろん盛大なネタバレありだけど)、ほぼすべての映像が観れたと思う。不死者とはなんなのかとか謎をすべて説明してくれるタイプのゲームではないけど、なんとなく理解はできたかな。

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