今年いちばん心に刺さったというかえぐられた映画は『関心領域』と『シビル・ウォー アメリカ最後の日』だった。大量殺戮が行われる強制収容所に隣接する家で、幸せな日常を過ごす所長一家の姿は、ウクライナやガザで起こる悲劇を傍観しながら暮らす自分の姿を映すようだったし、『シビル・ウォー』は安易な希望がどこにもない現実を思い知らされ、韓国ではクーデター未遂が起こって映画の内容を再現してしまいそうになるし。
環境テロをテーマにした『How to blow up』の切実さも忘れがたい。
『哀れなるものたち』、『憐れみの3章』、公開タイミングのおかげでヨルゴス・ランティモス監督の新作が2本公開されたのはうれしかった。
『怒りのデスロード』の前日譚『フュリオサ』もフェミニズムテーマの映画ということで。来年以降もジョージ・ミラー監督の新作が観れますように。
アリ・アスターの『ボーはおそれている』が公開されたのも一大イベントだった。
『ソルトバーン』と『チャレンジャーズ』の2作はセジウィックのジェンダー論『男同士の絆』そのままの構図の作品でおもしろかった。
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は興行的には失敗して前作のファンからも反発を買ったりしたけど、どういう人が文句を言ってるかをみるとこういう風に作ってくれてよかった。
『ルックバック』に感動したけど、アニメ作品はこれと『インサイドヘッド2』くらいしか観ていない。
配信作品だと差別と認識されない差別をテーマにしたコメディ『アメリカン・フィクション』、メンタルヘルスをテーマにしたアニメ『ニモーナ』や、イアン・リードのSF小説原作の『もっと遠くへ行こう。』もおもしろかった。
ドラマシリーズだと、ギリシャ神話を現代に置き換えた『カオス』がジェフ・ゴールドブラムの演技が堪能できてよかったし、パトリシア・ハイスミス『太陽がいっぱい』が原作の『リプリー』がめちゃくちゃおもしろくてアンドリュー・スコットのファンになった。同じくアンドリュー・スコット主演で山田太一『異人たちとの夏』をイギリスの監督アンドリュー・ヘイが映像化した『異人たち』もおもしろかった。
以前から興味がある決定論がテーマで、『シビル・ウォー』のアレックス・ガーランド監督の『Devs』もおもしろかった。
あとは、絶賛されてた『ロボット・ドリームズ』にもにょったり、
大好きなシャーリイ・ジャクスンの伝記ではない伝記映画『Shirley シャーリイ』も忘れがたいし、
リチャード・リンクレイター監督の『ヒットマン』も観て楽しかった。
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