2023年マイベスト映画と忘れたくない映画

映画

2023年観た映画で1本だけ選べといわれたら(誰にもいわれてないけど)、『バービー』になる。

MeTooムーブメントの盛りあがり、性的暴行スキャンダルまみれのトランプがそれでも大統領に選ばれてしまったというショック、おそらくそういう流れからフェミニズム映画への資金が集まるようになったんだろう。『スキャンダル』(2020年日本公開)、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2021年日本公開)や『SHE SAID その名を暴け』(2023年1月日本公開)、『ウーマン・トーキング』(2023年6月日本公開)など、フェミニズムテーマを真正面から扱った映画が作られてきた。

そして100億円以上の製作費で『バービー』が作られ、興行収入700億円以上で『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』やMCU映画を抜き2023年ぶっちぎり1位のヒット作になった。たんなる1本の映画の大ヒットというだけでなく、MeTooムーブメント以降の流れが1つの頂点に達した文化的イベントだったといえる。

大作映画でしかも女性監督のフェミニズム映画が年間トップの興行収入を叩き出した。もしかしたらアメリカのフェミニズム的状況は別のフェーズに移行したり、流れが変わるのかもしれない。それでもこの成功によってフェミニズムやアンチ家父長制映画にさらに資金が集まるようになるのは間違いないんじゃないだろうか。

心動かされたという点では『君たちはどう生きるか』も大きかった。作品そのものに感動したというより、巨匠の別れの挨拶、墓標をみているようで涙が止まらなかったんだけど。

あとは、スピルバーグ監督の『フェイブルマンズ』、リドリー・スコット監督の『ナポレオン』、スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』も巨匠の作品としてさすがのおもしろさだった。

『TAR/ター』もケイト・ブランシェットの圧倒される演技やどすんとくるテーマや意外な幻想味がめちゃくちゃよかったし、

コミカルなケイト・ブランシェットが観れる『バーナデット ママは行方不明』もよかった。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』や『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(アカデミー賞作品賞受賞)の笑えてかつ斬新なビジュアルアート映画っぷりもよかった。

現代的にアップロードされた『リトル・マーメイド』もよかったし、

ディズニー100周年記念作『ウィッシュ』、ピクサーらしく監督の個人的な想いを映画化した『マイ・エレメント』もおもしろかったし、

男たちの愚かさどうしようもなさを笑えるほどエスカレートしていく『イニシェリン島の精霊』もよかったし、

『ライトハウス』のロバート・エガース監督の『ノースマン 導かれし復讐者』もおもしろかったし、

2023年は『ジョン・ウィック:コンセクエンス』と『イコライザー THE FINAL』でどちらもシリーズ完結した。アクション・バイオレンス映画でも主人公がただマッチョなだけじゃなく精神的な脆さや自身の暴力性への葛藤を抱えてたりする作品が増えてるんじゃないかと思ってて、『ジョン・ウィック』と『イコライザー』シリーズの違いを考察してみたりした。

邦画2本しか観なかったけど、大好きな漫画が原作の『アンダーカレント』、

是枝裕和監督、坂元裕二脚本で少年2人の関係が忘れがたい『怪物』もよかった。

シャマラン監督の新作で、テーマもおもしろかった『ノック 終末の訪問者』。

ニコラス・ケイジ主演でニック・ケイジ愛に溢れる『マッシブ・タレント』、

やはりケイジ主演の風変わりなハードボイルド映画もおもしろかった。

格差を風刺した『逆転のトライアングル』も考えさせられて笑えてよかったし、

『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督、テイラー・ラッセル、ティモシー・シャラメ主演のファンタジックな青春映画『ボーンズ・アンド・オール』も忘れがたい(奇妙でおそろしい印象を残すマーク・ライランスも)。

ジョージ・ミラー監督でティルダ・スウィントン様主演の『アラビアンナイト 三千年の願い』もおもしろかったし、

なんだかんだいってMCU映画は2024年も追いつづけるだろうし、

『バービー』監督のグレタ・ガーウィグ主演、ガーウィグと結婚したノア・バームバックが監督の『ホワイト・ノイズ』も『終わらない週末』と同じく終末ものとして忘れがたいし、

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の新作『バビロン』も、『雨に唄えば』を下敷きにした複雑な構造の映画でおもしろかったし、

アリ・アスターが惚れこんだストップ・モーション・アニメーションのアート・ホラー映画『オオカミの家/骨』も一度観たら忘れられないし、

ノートへの落書きをそのまま動かすことを意識したアニメーション、ティーンエージャーの青春ものとしておもしろかった『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』、

ニール・ブロムカンプ監督がゲーマーを本物のレーサーにしてしまった実話を映画化した『グランツーリスモ』もおもしろかったし、

後編が気になるしテーマ的にも興味深かった『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』、

TRPGへのオマージュと完成度が高かった『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』もよかったし、

洗練された最新型サスペンス・ホラー『ミーガン』もおもしろかった。

デヴィッド・フィンチャー監督の新作、『ザ・キラー』も主人公の感情移入できなさを考察しがいがあったし、

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』と『ザ・クリエイター/創造者』にいまいち入りこめなかったのはなぜか分析できたのがよかったし……。

観れてない作品もいっぱいあるけど、振り返ってみるといろいろ観てるな。

2024年もおもしろい映画体験ができますように。

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